東巴について(トンパを書す)

東巴文字博物院訪問

平成19年3月、近年話題になっている東巴(トンパ)文字を直接見たいという思いから中国雲南省・麗江市の東巴文字博物院を訪ねた。 その後、同年9月及び平成20年3月・9月の計4回、東巴文字博物院へ訪れる事になった。

雲南省・麗江市

中国雲南省はミャンマー・ラオス・チベットに隣接して、省都 昆明は海抜1865mにありそれより更に540km離れた海抜2400mに麗江市はある。 遠くチベットに連なる峰々が秘境を成し、かつて【茶馬の古道】としてチベット高原を越えインドやネパールへと抜ける全長5000kmにも及ぶ、古代から中国の茶とチベットの馬が交換されてきた道の中継地であった。 この地域には25の少数民族が住み、その40%が納西(ナシ)族と言われている。 麗江には世界遺産の『古城』があって、古くからの街並には銀細工や工芸品などを売る店が軒を連ね、その傍らを流れる清流は永い歴史そのままの風景を映し出しているようである。 また、麗江の北15kmのところに南北35km続く十三峰の一つに少数民族が神聖な霊峰としている、万年雪が朝日に映えると美しい玉龍雪山(海抜5590m)がある。 かつて日中登山隊が5200mまで踏査した経緯が有るそうだが、納西(ナシ)族を始め少数民族の人々が崇拝する神聖な山の為、未登峰だという。

東巴文字及び東巴

東巴文字は、大自然の中で数千年に及ぶ知恵と想像力で生み出した納西(ナシ)族特有の象形文字で、ユネスコに『世界記憶文化遺産』として認められた現存する象形文字である。 中国西南大学の『納西(ナシ)東巴文研究叢稿』によると、東巴文字は基本文字1340字と異体字686字、付随する262字の計2288字からなっているとされている。 東巴文字博物院の係員の説明では、東巴文字は約2400字あって、現在に適応する為に借音による文字が使われているとの事であった。 一見東巴文字は絵画的で親しみやすい文字に見えてイラストやTシャツ等に使用されているようだがもともと東巴教の経典であって、東巴とは『智者』を意味し男子による一子相伝といわれ口伝による伝承だという。 それで地域により、また書く東巴によって若干表現が異なる様である。現在、大東巴は10名程で次代の大東巴の養成が成されているという。 東巴は各分野に存在し、祭司の役を負っていた様である。

東巴文字の研究

東巴文字については日本や諸外国でも研究されており、その著書も紹介されているが私は自身のこの目で見、聞いたものを基本に昨年、一昨年と4回東巴博物院で会った大東巴・和如麒氏 と和国偉氏 の東巴文字を参考にしながら『書』作品を書く事にしている。 この大東巴二人においても異なった部分が有り、模索の末の作品創作である。 ちなみに『古城』で会った若い篆刻家が、東巴文字は一つの文字に60通り(!)の表現があると言っていたのが印象的であった。
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